アラバマ州マディソン郡ハンツビル市は、米国内でも有数のハイテク地域として知られています。ハンツビル市が成立したのは1805年。実は、アラバマ州の最初の州都であり、アラバマを州と認める憲法はここで調印されました。そして行政成立からの約150年間、ハンツビルは主に農業地として栄え、綿花がその主要農産物でした。
ところが、1950年代初期に米国陸軍がレッドストーン兵器工廠(Redstone Arsenal)にドイツからウェルナー・フォン・ブラウン博士率いるロケット学者チームをミサイル・ロケット開発のために迎え入れたことから、ハンツビルは大きな転換を遂げることになります。フォン・ブラウン博士の指導下、チームは巨大ロケット「サターン」の開発に成功し、同市の米航空宇宙局 (NASA) マーシャル宇宙飛行センターから月に向けて、有人衛星船を飛び立たせたのです(その歴史や様子は今日では宇宙ロケットセンターで見学することができます)。
以来、ハンツビルは、NASA及び米国軍のミサイル開発、航空技術開発に大きく貢献し、さらに電子工学、コンピューター技術、通信技術、製造技術等の中心地としても大きな発展を遂げました。1962年、ハンツビルの中心地に今日では全米第2位の規模 (世界第4位)を誇るサイエンスパーク、カミングス・リサーチ・パーク(Cummings Research Park)が設立されたのも、こうした背景があるからにほかなりません。
また、トヨタ自動車の2001年のハンツビル進出により(日本国外初のV8エンジン製造工場の設立。2003年にはV6工場増設、また2004年にはV8工場拡張)、ハンツビル市は製造業にも格好な土地として世界的に注目を浴びるようになりました。
ハンツビル市は、その急速な経済成長、多岐にわたる産業、インフラの整った豊富な工業団地、質の高い生活水準及び労働力などにより、米国内はもとより海外でも高く評価され、フォーブス誌の「ビジネスに最適の全米の都市」特集ではこの数年で毎年上位にランクされるようになりました(2004年第11位、2005年第6位、2006年は14位)。また、英国ファイナンシャルタイムズ紙刊行のフォーリン・ダイジェスト・インベストメント誌の2005年6月号では「コストパフォーマンスが最も良い都市全米第2位」にランクされました。その他、インク誌の「米国中間市場で最もホットな街トップ20」(2006年5月)やエクスパンション・マネージメント誌の「科学者やエンジニアにとって最適な都市」に選ばれるだけではなく、Salary.comの調査では「全米で物価に対する賃金の価値が最も優れた都市」として高く評価されています(2006年6月)。
また生活水準においても、「生活水準が最も高い都市トップ10」(エクスパンション・マネージメント誌、2006年6月)や「環境に優しい都市トップ10」(グリーンガイド誌、2006年4月)にランクされたり、ハンツビル市の西側に隣接する、日本人や外国人も多く住む新興住宅街マディソン市が「家族と暮らすのに最適な全米の都市」に選ばれています(スパーリングス・ベスト・プレイス、2006年5月)。
2005年には、米国政府の『基地の再編と閉鎖』(BRAC)の見直しによりバージニア州にあるいくつかの軍事機関がハンツビル市のレッドストーン・アースナルに移転することが決定しました。この決定により、2007年から今後数年にかけて数千人から数万人の人達がハンツビル周辺地域に流入することになることが予想され、その経済効果は計り知れないものがあると期待されています。